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研究

タスクシュート論文執筆術

2024年6月25日

こんにちは、Keiです。

私は普段、大学の研究者として仕事をしているのですが、 (大学の) 研究者というのは、ある種の"執筆業"でもあると考えています。

研究成果の論文化に始まり、研究費の申請書や応募書類、本や教科書・寄稿記事、大学への報告書、学会に提出する抄録など…。
日々たくさんの書類を、時には研究という"物語"を書くように執筆しています。

特に論文執筆は多くの研究者にとって生命線です。分野にもよりますが、特に若手はコンスタントに論文を執筆・出版し続けることが求められます。

しかし、殆どの若手研究者は非常に多忙であるために、論文の執筆ができないと苦労する方も多いのです。私も論文執筆が進まず悩んでいました。

とはいえ、最近はタスクシュートを使い続ける中で、一定のペースで論文を書けるようになってきました。

そこで本記事では、タスクシュート論文執筆術と題して、私が普段どうやってタスクシュートを使いながら論文執筆を進めているのか解説します。

なぜ論文が書けないのか

そもそも、なぜ論文が書けないのでしょうか?

経験やスキル、扱うテーマ、研究室の方針など様々な理由があると思いますが、一番の理由は「時間が無いこと」だと思います。

論文執筆だけに集中できる状況であれば困らないのですが、論文が書けないと悩む方の多くは、皆さん多忙な中で論文執筆にチャレンジしています。

大学生や大学院生であれば、授業やテスト、実験、就活、インターン、バイト、プライベートの予定などによって殆どの時間は埋まってしまうでしょう。
社会人大学院生であれば平日の日中は仕事をしているでしょうから、尚更時間はありません。

また、大学教員も講義や学生指導、申請書や報告書の作成、事務仕事、実験、出張、公演、プレゼン…と多くのタスクをこなしています。もちろん教員にだってプライベートの時間は必要でしょうから、その中で論文の執筆を行う必要があります。

問題なのは、上記のタスクに比べて、「論文執筆」というタスクは優先度が低くなりやすいということです。

論文執筆は極めて重要なタスクですが、基本的に締切がありません。
そのため、目の前の締切が差し迫っているタスク達に比べれば、どうしても緊急度が低くなります。

では締切が近いタスクを処理すれば論文執筆に着手できるかといえば、中々そうもいきません。
忙しい生活を送っていると、締切が迫っているタスクが常に存在するという状況になりやすいです。これは必ずしも悪いことではないのですが、この状況で緊急度が低いタスクに時間を使うのは、実はとても難しいのです。

※論文執筆のように「重要でも緊急度は低いタスク」というのは、いわゆる「7つの習慣 (スティーブン・R.コヴィー)」における時間管理のマトリクスの「第二領域」に該当するのですが、この時間管理のマトリクスという考え方が一斉を風靡し、そして挫折する人が大量発生したくらいには、忙しい人が重要でも緊急度が低い「第二領域」のタスクに時間をかけるのは難しいのです。

つまるところ、論文が書けない理由である「時間がない」とは、「重要だが緊急度が低いタスクにかける時間がない」ということです。

言い換えれば、重要だが緊急度が低いタスクにかける時間が"ある"なら、論文は書けるようになるのです。

「時間がない」はタスクシュートで解決できる

さて、ここで唐突ですが、書籍「先送りゼロ」の3ページ目を開いてみましょう。
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なんて書いてありましたか?

そう

「時間はある」のです。

タスクシュートは「時間はある」ということに気付かせてくれるメソッドです。

そしてタスクシュートによって「時間はある」という状態になれたなら、「時間がないから論文が書けない」という悩みは解決します。

一つ間違えてはいけないのは、タスクシュートによって時間を作るのではなく、いきなりタスクシュートによって「時間はある」という状態にします。そうすれば論文は書けるようになります。

何だか煙に巻かれるような話ですが、これはやってみるのが早いです。

タスクシュートで論文を書いていく

ここからは、私がどうやってタスクシュートを使いながら日々論文を書いているか紹介します。

① 1日の早い時間に短時間の「論文執筆タスク」を登録する

まず、「論文執筆」というタスクをタスクシュートに登録します。同時にルーチンタスクにも設定しておくと良いでしょう。

登録の際には、論文執筆タスクの開始時間は午前中など1日の早い時間帯に設定します。可能な限り他のタスクが前に入らないことが望ましいです。

1日の早い時間帯にタスクを設定するのは、想定外の事態が発生し、着手に失敗する可能性が低くなるからです。
1日の後半になるほど論文執筆よりも優先すべきタスクが増えてしまい、論文が書けずに1日が終わる可能性が高まります。

なお、午前中の早い時間といっても早朝や起床直後である必要はありません。私は出勤直後にしています。

また、タスクの見積時間は短めに設定しておきます。毎日何時間も書こうと意気込んでも実現できなければ挫折しますので、短くして継続のハードルを下げましょう。

極限まで着手のハードルを下げるなら、見積時間は1分でも良いです。「1分着手」で論文を書いていきましょう。
(ちなみに私は最低15分としています。私の場合、論文執筆については1分着手だと逆にやる気がしないという理由です)

見積時間は短くしますが、実際の実行時間は増減して構いません。見積時間15分としつつ、実際には数時間書き続けても大丈夫です。

ただし、個人的には忙しい方であるほど短時間でも毎日書き続けた方が最後まで書き上がる確率は高まると思っているので、短時間の執筆を毎日繰り返すことをオススメします。

ちなみに、毎日書くと言っても休日は必須ではありません。なかなか論文が書けない時には休日の時間を使って巻き返したくなるものですが、平日だけでも十分に執筆は進みますので、そこは自由です。

② できるだけ早めに論文執筆に着手する

タスクシュートに登録したら、できるだけ早めに論文執筆に着手しましょう。

1日の早い時間帯にタスクを登録したなら、論文執筆というタスクがタスクリストの一番上、ないし上部に存在しているはずです。
その論文執筆タスクを他のタスクに先んじて実行してしまいましょう。

忙しい方ほど、締切が近いタスクや新しく発生したタスクが気になり、論文執筆以外のタスクに着手したくなるかと思います。
出勤直後であれば未読メールが気になる方もいるでしょう。

しかしそこは気にしないことにします。
軽いメールチェックくらいは良いですが、緊急事態が発生していないことだけ確認したら、誘惑に負けずに論文執筆に着手しましょう。

結局のところ、論文執筆を行うのは自分の意志によります。
どれだけ着手のハードルを下げたりタスクシュートを駆使しても、自動的に体が動いて論文が書けたり、急に論文を書きたくて仕方がない精神状態になんてなれないのです。

タスクシュートができるのは着手を助けることだけなので、最後には自分の意思による着手が必要です。
とはいえ、必要な意思力なんてちょっとだけです。ちょっとだけ体に力を込めて、論文執筆に着手してしまいましょう!

なお、もし緊急性の高いタスクが他にある場合は、当然ですが論文執筆よりもそちらを優先します。
ロボットのように何が起きても論文執筆を優先する必要はありません。
他人から何か頼まれたら喜んで引き受けますし、朝イチの予定が入っていたらその予定通りに行動します。

ですが、「できるだけ早めに論文執筆に着手する」という方針は変えません。
緊急性の高いタスクを処理したら、最優先で論文執筆に着手します。朝イチの予定があったとしても、それが終わり次第、最優先で論文に着手します。

他のタスクが先に入ってきたとしても、それが終れば最優先で次のタスクである「論文執筆」を実行するのです。

【注意】「忙しくない状況」なんて来ない

一つ注意をお伝えします。

先ほど、緊急性の高いタスクがある場合は、そちらを処理してから論文執筆に着手すると説明しました。

ここで注意が必要なのは「緊急性の高いタスク」は、常に存在し続けるということです。
「緊急性の高いタスクが片付いて、論文執筆だけに集中できる」なんて状況は、研究者である限り永遠にやってこないと思ってもいいでしょう。

そのため、ちょっとくらい緊急性が高いだけのタスクなら、勇気を出して論文執筆を優先してみましょう。

私でしたら、当日締切のタスクであれば念のため論文より先に着手しますが、翌日締切だったら論文を先に書くと思います。

論文を優先してもいいのか最初は不安ですが、短時間の論文執筆を挟むくらいでは予定は破綻しません。意外となんとかなります。動かせる締切なら動かしてしまいましょう。

むしろそれくらいはしないと、忙しい日々の中で論文を書き続けるのは難しいと思います。

着手さえできれば「時間はあった」ことになる

本記事では、タスクシュートを使って日々論文を書いていく方法を紹介しました。

タスクシュート論文執筆術と題していますが、やっていることは単純です。

①1日の早い時間に「論文執筆」タスクを登録する
②できるだけ早めに論文執筆に着手する
これを毎日繰り返すだけです。

「これを毎日繰り返すだけ」、それが難しいのはわかります。しかし、そこはタスクシュートによってカバーできるでしょう。

タスクシュートに「論文執筆」というタスクを登録しておけば、他のタスクが気になって論文執筆を忘れてしまう確率は下げられます。
実行ログを残せば、自分が着手しやすいタイミングが把握できて習慣化もしやすいでしょうし、毎日執筆できていることがログから確認できて、自信につながって更に習慣が定着しやすくなるでしょう。

最後に、「論文を書く時間がない」とは、論文を書いていないときに思うことだと私は考えています。
短時間でも論文を書けていれば、時間がないとは思わなくなります。だって論文を書く時間はあったのですから。

私が考える「時間の有無」とは過去の行動によって決まります。
実行したなら時間はあったし、実行しなかったなら時間はなかったのです。

この意識変容の効果は侮れません。時間がないと思っていると本当に行動できなくなりますが、反対に時間があると思っていれば、そのまま行動できてしまったりするのです。

時間が無くて論文が書けないという方は、ほんのちょっとだけ意思の力を使って、他のタスクよりも論文執筆を優先して実行してみてください。
たったそれだけで、明日からでも「論文を書く時間がある人」になれるはずです。

この「論文を書く時間がある人」になることが、タスクシュート論文執筆術の本質かもしれません。

本記事は以上です。ありがとうございました。

*本記事は、タスクシュート協会公式noteマガジン「ユタカジン」への寄稿文の追記修正版です。

  • この記事を書いた人

Kei

タスク管理やライフハックが好きな研究者|医学博士|株式会社CxO|タスクシュート認定トレーナー|主な発信内容はタスクシュートと研究です。

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