タスクシュートを使うと何が良いのでしょうか?
タスクシュートを使うことで見えてくるものがあるのです。
それは習慣化のきっかけであり、タスクにすぐに取り掛かれるようになる方法であり、先送りをしない自分になる方法でした。
そして私にとってはそれこそが、人生が変わり始める最初のきっかけでした。
やる気スイッチと習慣の話
いきなりですが、やる気スイッチの話をします。
やる気スイッチとは、やる気を出すことができるきっかけのようなものです。辞書サイトから引用すると以下のようなものです。
勉強などに取り組む気になれない(やる気が出ない)状況を打開して積極的な気持ちを鼓舞するような契機となるもの、という意味合いで用いられる表現。学習塾「スクールIE」を運営する「やる気スイッチグループ」が理念として掲げている。なお「やる気スイッチ」の名称は株式会社やる気スイッチグループホールディングスの登録商標である。
https://www.weblio.jp/content/%E3%82%84%E3%82%8B%E6%B0%97%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%81
私は昔見たCMの印象が強いです。
昔話になりますが、私は子供の頃から、やるべきことに中々取り掛かれない病(私は病気だと思っていました)に悩まされてきました。
取り掛かることさえできればそのまま勉強も作業も続くのに、本当に期限ギリギリまで取り掛かれないのです。
それでも小学生の夏休みの宿題や、中学生の期末テストくらいならギリギリに始めても何とかなっていました。
しかし高校生くらいから、早めに取り掛かれる人と取り掛かれない私では、成績などに大きな差が付き始めました。
そうして高校生の頃、いい加減この「病気」を治そうと奮い立ちました。
そしてこの「病気」を治すには、私のやる気スイッチを見つける必要があると考えました。アホですね。
そして実際に色々試しました。作業を中途半端に終わらせて次に取り掛かりやすくするツァイガルニク効果とか、パブロフの犬よろしく音や食べ物で条件反射を起こそうとするとか、机にお菓子を置いておくとか、何か音楽を聞きながら作業に取り掛かるとか、勉強や仕事以外の事はやりにくい不便な環境をあえて作るとか、前日に「この時間は絶対勉強する!」と決めて手帳に書いておくとか…。
まあ色々試しましたが、上手くいきませんでした。そしてたまに無理やり取り掛かったとしても、すぐに強烈な眠気に襲われる始末。
私にはやる気スイッチなんて備わっていなかったようです。上手くいってたらタスクシュートなんて使うことはなかったでしょう。
ですがそんな私でも、これまでの人生で一度も期限ギリギリまで作業に取り掛かれないというわけではありませんでした。
私だってたまにはすんなり作業に取り掛かかり、途中で眠くなることもなく作業や勉強に集中できたことはあるのです。しかも、特に何か事前準備をした訳でもないのに。
これは何が違うのでしょうか?その時は何が理由で作業に取り掛かることができたのでしょうか。
「やる気」は「取り掛かる」のトリガーにはならない
まず結論として、「やる気」を「取り掛かる」のトリガーにすることはできません。
やる気があったから取り掛かることができた事も過去にはあるでしょう。しかしトリガーというからには、自分の意志で引き金をいつでも引けなければいけません。
しかしやる気は、出てきてほしい時に常に出てきてくれるとは限りません。
「たまに湧くやる気はやる気じゃなくて気まぐれ」というお寺の標語がありましたが、そのイメージに近いと思います。
やる気は出そうとしても出せないのです。そんな不確定要素の強いものをトリガーになんてできません。
そして何よりも、やる気を出してから作業に取り掛かろうとすることが間違いです。「取り掛かる」事に対して、「やる気が出ている」という前提条件を課すからハードルになってしまい余計に取り掛かれないのです。
やる気が無くても取り掛かって良いんです。むしろ取り掛かることにやる気は必要ありません。
見つけるべきは「やる気スイッチ」ではなく「既に習慣ができているタイミング」
やる気が無関係なら、一体どうすればすぐに取り掛かる事ができるのか。
10年以上かけて、私は2つの結論を出しました。
一つは、「いつでも作業に取り掛かれるような都合の良いスイッチやトリガーなんて無い」という身も蓋もない結論。
そしてもう一つが、「取り掛かるのにスイッチやトリガーを必要としない状況がある」という結論です。
稀に訪れるスッと作業に取り掛かれた時というのは、たまたま何かトリガーを引くきっかけがあったわけではなく、たまたま行動にトリガーを必要としない状況だったのです。
取り掛かりのハードルがない、取り掛かりにエネルギーを必要としない状況とも言えます。
つまり探すべきは「やる気スイッチ」ではなく、「やる気スイッチが押されなくても取り掛かれる」状態の自分です。
そしてこの「取り掛かれる状態」に自分が自然になれるタイミングこそが「既に習慣ができているタイミング」だったのです。
この状態であれば取り掛かることにエネルギーを込める必要はありません。デフォルトの状態からそのままゆるっと行動に移れます。
これはタスクシュートを使うようになって初めてわかったものです。
新しい習慣は「既にできている習慣」の中に入れることで取り掛かれるようになる
タスクシュートを使い続けていると、1日のほとんどがルーチンタスクで埋まるようになります。
このルーチンタスクは、これからやろうとしている希望的な行動計画ではなく、既に自分が行った行動の記録から構成されます。
ルーチンタスクは過去の自分がやったことなので、今日の自分でも継続がしやすいです。習慣になっているタスクであれば、取り掛かることも容易です。
このルーチンタスクの中から、あなたが一番ルーチンで続けられているタスク群を探してください。そこがあなたにとって一番イレギュラーがない時間帯であり、既に習慣ができているタイミングです。
私の場合は、起床後から出勤までの朝の時間でした。
この「既に習慣ができているタイミング」の中に、新しい習慣をルーチンタスクとして加えるのです。
既存の習慣と入れ替えてもいいですし、既存の習慣の時間を調整してねじ込んでもいいです。ルーチンタスクの時間を調節してみましょう。
こうすれば、新しい習慣は既存の習慣の一部になるので、取り掛かれなかったり挫折したりする可能性が激減します。
それでも取り掛かれない日があるかもしれませんが、そんなの普通の事なので何も気にする必要はありません。次の日にやればいいのです。
なお、作れる時間が少なくても問題はありません。5分あればできる、人生に良い影響を与えてくれるパワフルな習慣はたくさんあります。
ちなみに私は朝の習慣の中に、「習慣化のための時間枠」を設けています。ここに習慣にしたいことや、毎日集中的に進めたいタスクを入れるようにしています。
そして新しい習慣を身に付けたら、その習慣は別の時間に移してこの時間枠を空け、またここに次の習慣や重点的に行いたいタスクを入れるようにします。
このメソッドによって、私は次々と良い習慣を身に付けることができました。
この「既に習慣ができているタイミング」こそが、タスクシュートが見せてくれたものであり、そして習慣化によって人生を変えるためのきっかけとなったものです。
もし、この「既に習慣ができているタイミング」が見つからない場合には、作ってしまいましょう。私が朝の時間に習慣を作った方法について以下の記事にまとめています。
-
【挫折しない】タスクシュートを使った習慣化メソッド
続きを見る
タスクシュートが見せてくれるもの
この記事では、やる気スイッチの話と、取り掛かりの話、そしてタスクシュートによる習慣化の話を書きました。
新しい習慣は意思の力だけで継続するのは困難です。一方で、習慣には続くタイミングがあります。
しかしこのタイミングは個人の生活によって全く異なるため、自分で行動を記録して見つけ出すしかありません。
ですが一般的なライフログツールでは毎日の行動の記録はできますが、そこから行動パターンを割り出し、タスクリストを作成し、実際に行動する、という工程を経るのは大変すぎます。習慣化の方がずっと楽です。
その点タスクシュートは、行動した記録をルーチンタスクに登録すれば、翌日以降は自動でタスクリストを作ってくれます。毎日一つずつでもルーチンタスクを増やしていけば、着実に生活リズムが描き出されていきます。
むしろ一気に作ろうとすると、とても毎日なんて続けられないリストができるので、少しずつルーチンタスクを調節しながら実行可能な内容に最適化していきましょう。
こうしてタスクシュートを使い続けているうちに、タスクシュートはあなたが知らず知らずのうちに続けている既存の習慣を見せてくれるようになります。
それを見つけることができれば、その後はどんな習慣だって始められるようになります。
既に習慣になっている行動を取っている自分というのは、私達が求めていた「やる気スイッチが押された自分」そのものです。
いくつか習慣が身につく頃には、あなたに出来ないことなんて無くなっているでしょう。
そしてその状態こそが、私が考えるタスクシュートを使って目指す一番の目的です。
本記事は以上です。ありがとうございました。