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仕事術・タスク管理

【タスクシュート】「順算思考」と「逆算思考」を考える

2023年10月4日

こんにちは、Keiです。

最近、順算思考逆算思考という考え方がタスクシューターの間で話題です。

かのjMatsuzakiさんをはじめとして、たくさんのタスクシュート認定トレーナーの方が順算思考と逆算思考について発信しています。

タスクシュートとの相性が良いので、多くの方は順算思考を推奨されています。

ただし、何を持って「順算思考」「逆算思考」と定義するのかわかりにくいと感じたり、「逆算思考」しないのは不可能ではないかと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、順算思考逆算思考について考えていこうと思います。

「順算思考」「逆算思考」とは

「順算思考」「逆算思考」という言葉はタスクシュート協会が作った言葉ではなく、以前からプロジェクトマネジメントを扱うビジネス書やブログなどでは取り上げられていました。

かつてのビジネス書などにおける「順算思考」「逆算思考」とは、以下のような扱いをされていました。

順算思考: 目標を持たずにただ日々を過ごす、無計画に場当たり的に行動する、現状に満足して今できることしかしようとしない、そんな非生産的で非計画的な行動をもたらすマインド

逆算思考: 高い目標を掲げ、目標達成に必要なことを逆算し、綿密な計画を立て、時間を無駄にせず現状に満足することもなく、目標に向かって邁進していくようなマインド

そのため「結果を出す人ほど逆算思考」と、2010年代は逆算思考が大いに推奨されていたように思います。

確かにこれだけ読めば「順算思考」よりも「逆算思考」の方がとても優れているように感じられるでしょう。

そのため現在も、目標を達成したい、現状を変えたいと思うときに、「逆算思考」に基づく綿密な行動計画などを作り始める方が多いのです。

しかし、今の世の中は「逆算思考」によって計画通りに行動することが大変難しくなってきています。

情報化社会の進歩とともに、実行しなければいけないタスクや割り込みタスクが増加しただけではなく、脱線を誘発するメディアなどの外部刺激も増加しました。その結果、計画通りに行動するのが以前よりもずっと難しくなってきたのです。

そんな今だからこそ、タスクシュート認定トレーナーとして、私は「順算思考」を推奨します。

タスクシュートにおける「順算思考」と「逆算思考」

タスクシュートの文脈における順算思考逆算思考とは、以下のようなものと言えるでしょう。

順算思考: 綿密な計画通りに行動するのではなく、今できるタスク、今しているタスクにフォーカスしながら、行動実績を積み重ねていくことを重視する考え方。そして行動によって変化が生じたら、新たに生まれた「今」にフォーカスし、さらに行動を積み重ねていく

逆算思考: 目標を達成するために必要なタスクを洗い出し、綿密な計画を立てる。そして計画から脱線することなく、最短距離で目標達成を目指していくことを重視する考え方

文章だけ読めば、逆算思考も悪くないように思います。

しかし、それは実現できればの話です。

先程もお伝えしたように、今の世の中において、計画から脱線することなく、最短距離で目標を達成するなんてことはほぼ不可能です。これが可能なのは、一部の才能のある方や、環境と計画が高いレベルで適合していた方だけです。

それにも関わらず、多くの方が逆算思考で目標を達成しようと頑張ったにもかかわらず、失敗し、疲弊してしまっています。そして失敗の原因が自分にあると思い込み、自分を責めて辛い思いをしています。

そのため、現時点で理想通りに行動できない、思い通りにいかないと既に思っている方は、順算思考に切り替えるべきです。

そして、この順算思考を自然に実践させてくれるのがタスクシュートです。

タスクシュートに今しているタスク、これからするタスクを記録するという行為によって、自然と意識が「今」にフォーカスされ、順算思考に切り替わります。

この自然な順算思考への切り替え効果があるために、タスクシュートは順算思考ととても相性が良いのです。

順算思考」と「逆算思考」に対する誤解

ここまで、順算思考、逆算思考とはどのようなものか説明してきました。

では、順算思考と逆算思考の違いはなんでしょうか。

「目標や計画を立てる」=「逆算」ではない

「順算思考」と「逆算思考」の違いとして真っ先に思い浮かぶのが、目標や計画の有無です。

そして、これが誤解の元だと思います。日本語の表現が悪いのかもしれません。

私は目標や計画の有無が失敗の原因だとは思いません。

失敗の原因となるのは「思い込み」「条件付です。

「思い込み」「条件付け」が逆算思考の原因

目標を立ててしまったら、計画を立ててしまったら、それは「逆算思考」であり悪いことなのでしょうか。

そんなことはありません。それこそ、以前のビジネス書に書かれていた「(否定的な意味で)無計画で場当たり的な行動」そのものです。

目標を立てても構いません。計画を立てても構いません。ただし、そこに「思い込み」条件付を含めないようにします。

目標があることは逆算でも順算でもありません。ただそこに目標があるだけです。目標を持つこと自体は何も悪くありません。

ただし、その目標や計画に「思い込み」「条件付け」が入っていないことが前提です。

例えば「半年後までに目標を達成できないと人生おしまい」「駄目な自分を変えるために来年までに目標を達成する」といった考え・目標には、「半年後」「来年」といった勝手な条件付けや「達成できないと人生おしまい」「駄目な自分を変える」といった思い込みが含まれています。

この「思い込み」「条件付け」こそが逆算思考です。

目標から勝手に逆算して達成条件を課したり、目標を達成した空想の自分から逆算して、勝手に「今までの自分は駄目な自分」「達成できればすごい自分に変われる」と思い込んでいるのです。

この思い込みや条件付けは、過去や未来への不安から来ています。これまでの自分では不安だからこそ、条件を課し、思い込みをすることで、恐ろしい未来を回避しようとします。

しかし繰り返しますが、今の世の中で理想通りに行動するのは困難です。

そして「理想通りに行動できない」とは、つまり自らが課した「条件」「思い込み」を達成・実現できないということです。

この自分との約束を破るという行為は、大きく体力やメンタルを消耗させます。そして、条件達成が不可能となったとき、目標まで道半ばというところで挫折してしまうのです。

もし仮に1回は目標を達成できたとしても、その後の人生ずっと、条件を達成しながら目標を叶え続けるのは不可能です。いつかは限界が来ます。

これが、逆算思考で失敗する原因です。

「順算思考」は事実ベースで目標・計画を扱う

「思い込み」「条件付け」を含めた目標や計画を立ててしまうことが逆算思考、ひいては失敗の原因になると説明しました。

では順算思考についてはどのように考えれば良いのでしょうか。

まず、目標や計画を持たないこと =「順算思考」ではありません。

逆算思考の逆に考えてください。つまり「思い込み」「条件付け」を含めない目標や計画は立てて良いのです。

「思い込み」「条件付け」を含まない単なる目標を立てたり、締切という事実から計画を作ることは逆算思考ではありません。

そして「順算思考」では、この事実ベースの目標や計画を活用してプロジェクトを進めていきます。

「順算思考」によるプロジェクトの進め方

順算思考では、目標の締切を守るために、今できるタスク、今するべきタスクから実行していき、その結果発生した変化にその都度対応していきます。

大切なのは、逆算思考のように条件や思い込みを持たないことです。「毎日1時間作業する!」「(締め切り関係なく)月末までに終わらせる!」といった勝手な条件を課さないようにします。

逆算思考のように計画通りに作業することや、毎日決まったペースで進めるという条件を重視するのではなく、事実ベースの計画を参照しながら、作業実績を積み上げることを重視していきます。

そして作業の結果として計画の変更が生じたら、それはそれとして都度対応していきます。計画を変えてはいけないという思い込みも持たないようにします。

特に「計画を変えてはいけない」という思い込みは、計画変更が必要なのに、誰にもそれを相談できないという状況を作り出すので危険です。

また、逆算思考では計画に余裕がある場合、締切が近づくまで一切タスクに着手できないといったことが起こります。それでも間に合えば良いのですが、しばしば不足の事態が発生して締切に間に合わなくなります。

そして多くの場合、こうした失敗は少しでもタスクに着手していれば防げたものであったりします。

しかし順算思考であれば、まずは今できるタスクに着手します。その結果、締切まで余裕があるとわかれば、そのプロジェクトはペースを落としながら作業し、他のプロジェクトのペースを上げたりすることができるのです。

そのため、結果的には順算思考の方が時間を効率良く使えます。時々タスクシュートユーザーの間で「先送りピッタリ」という言葉が出てきますが、これはまさに順算思考のタマモノなのです。

「やるべきタスク」は逆算思考から生まれる

多くの方が抱える悩みの一つに「やるべきタスクができない」というものがあります。

実はこれにも逆算思考が関わっています。

「やるべきタスク」というのは自然に生まれるものではありません。元々は単なる「タスク」だったのに、目標や過去・未来から逆算して、勝手に「やるべき」という条件、思い込みを付けてしまっているのです。

単なるタスクと比較して、「やるべきタスク」は私達にとって重大な意味を持ちます。実行するのも単なるタスクより大変そうな感じがしませんか?

この大変そうという感覚と逆算思考は似ています。本当に大変かどうかなんてわからないのに、勝手に大変そうという感覚を逆算して「やるべきタスクを実行する」という大変な状況を回避しようとしてしまうのです。

だからやるべきタスクができないという状況になります。

順算思考であれば、単なるタスクに「やるべき」という条件や思い込みを付けてしまうことはありません。

逆算思考よりも、ずっとタスクに着手しやすくなります。

よって「やるべきタスクができない」という悩みがある方にも、順算思考によって目の前のタスクにフォーカスして、行動を積み上げるという経験をしてみてほしいと思います。きっと悩みは解決します。

なお、「タスクシュート100日チャレンジ」で推奨している「1分着手」。これも一種の順算思考を発動させるトリガーです。
1分だけ着手するという行動には、いま目の前にあるタスクにフォーカスすることで順算思考に切り替わる効果がある一方で、たった1分だけ行動するということに立派な目標や計画なんて立てられないという理由から、逆算思考を抑制する効果があります。
だから「1分着手」で普段よりずっと着手しやすくなるのです。

「順算思考」は決して無計画に行動することではない

本記事では、順算思考と逆算思考について深掘りし、誤解しやすいポイントについて解説しました。

順算思考と逆算思考の違いは、目標や計画の有無でもなければ、時系列的な矢印の向きでもありません。

勝手に行った「条件付け」や「思い込み」が逆算思考なのです。

「1日1時間作業する!」と、一見すると時系列的には前向きに矢印が向いているような考えも、その条件を満たすことが目標達成に必要だと思いこんでいる時点で、逆算思考です。

一方で、目標達成に必要な計画を立てたとしても、勝手に決めた条件や思い込みではなく、締切など事実に準じた計画であるならば、それを参照して行動することは順算思考の否定にはなりません。

順算思考とは、必ずしも目標や計画を全く立てず、無計画に行動することを指すのではないと理解することが重要です。

過去でも未来でもなく、今にフォーカスすることが順算思考の本質です。

本記事は以上です。ありがとうございました。

  • この記事を書いた人

Kei

タスク管理やライフハックが好きな研究者|医学博士|タスクシュート時間術やタスク管理術について発信していきます|一般社団法人タスクシュート協会 タスクシュート認定トレーナー

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