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仕事術・タスク管理

【疲れる人に】時間をはからないポモドーロテクニック

2023年2月13日

こんにちは、Keiです。

先日の記事では、ポモドーロテクニックに対する誤解についてまとめました。

【集中力】ポモドーロテクニックと集中力に対する誤解

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この記事で言及した、私が実践する"時間を計らないポモドーロテクニック"について解説します。

私はそのままのポモドーロテクニックはとても疲れると感じていたのですが、時間を計らないようにすることで、疲れを抑制しながらポモドーロテクニックの良い効果だけを取り入れることができるようになったと感じています。

ポモドーロテクニックが合わない、疲れると感じる方には試してもらいたい方法です。

ポモドーロテクニックの構成要素

3行で説明すると、ポモドーロテクニックとは以下の3点から構成されています。

・25分の作業と5分の休憩を1単位(1ポモドーロ)と定め、4ポモドーロ実行したら15〜30分程度の休憩を取る
・1ポモドーロ中に生じる内的中断、外的中断を可視化し、また可能な限り抑制する
・1日の予定タスクに対して1日分のポモドーロを割り当て、1日の見通しを立てる

内的中断とは、余計な事を考え出したり、今やらなくてもいい事をし始めたりすることによる作業の中断です。一方外的中断とは、他人からの依頼や事前に設定してないタスクの発生による作業の中断を指します。

なお、上記は本テクニックの極一部の抜粋です。本来のポモドーロテクニックとは、複数のルールに従いながら1ポモドーロの作業効率の最大化を狙う、非常にシステマティックなメソッドです

とてもここだけでは語りきれないので、興味のある方は本メソッドの考案者であるフランチェスコ・シリロ自身の著書を是非ご一読ください。

フランチェスコ・シリロ (著)
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作業時間を計らないとポモドーロテクニックはどう変わるか

25分という作業時間を測定しない場合、ポモドーロテクニックはどのように変化するでしょうか。

前述した3要素は以下の赤字のように変動します。

・25分の作業と5分の休憩を1単位(1ポモドーロ)と定め、4ポモドーロ実行したら15〜30分程度の休憩を取る
→任意の時間の作業と5分の休憩を1単位(1ポモドーロ)とし、4単位実行したら15〜30分程度の休憩を取る

・1ポモドーロ中に生じる内的中断、外的中断を可視化し、また可能な限り抑制する
→変化なし

・1日の予定タスクに対して1日分のポモドーロを割り当て、1日の見通しを立てる

→1ポモドーロに要する時間が変動するため、ポモドーロ単位では1日の見通しを立てない

時間を計らないだけで、休憩の取り方(つまり3回の短い休憩の後は長い休憩を取る)や中断への対処は本来のポモドーロテクニックの考え方に準じて行うことができます。1日の見通しは元々ポモドーロ単位で無くても立てられるでしょう。

作業時間を固定しなくても、ポモドーロテクニックは実践可能なのです。

なお私のやり方では、1回の休憩時間は7分程度であったり、内的中断はマインドフルネスで発生頻度自体を抑制、割り込みタスクのような外的中断は抑制せずむしろ優先度を上げて対応する、といった違いがあります。

割り込みタスクという悩みを手放す方法

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自身に合わせて自由に形式を変えても破綻せず効果を発揮できるのは、ポモドーロテクニックの強みだと思います。

時間を計らないことによるメリット

作業時間を計らないということは、1単位の作業時間を事前に設定しないということです。

これにより得られるメリットとして、その時の自身の集中力に合った時間だけ作業を行うことができるというものがあります。

例えば、50分集中が続く状態で25分のタイマーをセットした場合、せっかく50分続く集中が25分で途切れてしまいます。

もちろん、25分で作業を中断し、5分休憩してからまた25分集中して作業してもいいでしょう。

しかし、2回目の25分作業時にも再び同じように集中できるとは限りません。途中で中断を挟まなければ50分集中していられたのに、わざわざ途中で集中を切る時間を設けることで、結局25分しか集中できなかったということが起こる可能性があります。

また、「疲れきる前に途中で強制的に休憩を挟んだほうが結果的に集中が長続きする」という意見もあると思いますが、私自身はこれには懐疑的です。

私達が集中力を出したいと思うような作業は、きっと効率が求められる作業であったり、それこそ楽しくない作業でしょう(楽しい作業なら、もっと集中したいなんて思うこともなく作業に没頭できるでしょう)。

このような"集中力を出したいと思うような作業"に対して、残念ながら多くの方は休憩を忘れるほどの強烈な集中力を発揮できません。ある程度の集中力しか発揮されないので、良くも悪くも疲れてきたり、集中力が切れてきたら自覚できます。

そうして疲れや集中の途切れを感じたら休憩すればいいのです。

また、もう一つのメリットとして、「ポモドーロテクニックを使うと疲れる」という状況を回避できるようになります。

ポモドーロテクニックに頼りたくなるような作業を開始するには結構なエネルギーを使います。そして中断と休憩の回数が増えれば増えるほど、"作業開始の回数"も増えます。当然疲れも強くなるでしょう。

また、時間を固定した作業を繰り返していると、段々と作業終了のタイミングを体が覚えてきます。すると、やがて作業終了時間が近づくだけで集中が切れたり、無駄に疲れを自覚するようになっていくのです。

結果として、休憩なんて必要ないような軽微な疲労にも強い疲れを覚えるようになり、休憩時間が増えていきます。こうして、時間を固定した作業の繰り返しは疲労に対する感度を高めていきます。

しかし時間を計らなければ、不要な中断を無くし、作業開始の回数増加を抑えることができます(ただし、これは1回の作業時間が長い方限定の話ではあります)。

また、時間を計らなければ作業終了のタイミングを体が覚えてしまい、疲労への感度が高まる事もありません。

これが時間を計らない事の二つ目のメリットです。この話は以下の記事にも記載しています。

【集中力】ポモドーロテクニックと集中力に対する誤解

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なお、作業時間は固定しませんが、休憩時間はポモドーロテクニックの考え方に準じます。つまり作業と5分程度の休憩を3回繰り返し、次の作業後の休憩時には15~30分程度の長めの休憩を取ります。この休憩時間も自身に合った長さに調節して良いでしょう。

もちろん休憩の取り方も自由です。あからさまに休憩なんて取れない職場がほとんどでしょうから、トイレに行く、集中力を切った状態で無関係な作業をする、といった方法でも十分です。

このように休憩はポモドーロテクニックに準じて取ることで、時間を計らなくても通常のポモドーロテクニックと同じように集中を持続できます。

また、疲れが強かったり、内的中断が多発して集中が続かない時もあります。このような場合は無理に作業を続けても良い結果にならないので、早めに休憩を取り、仕切り直します。一度仕切り直せば次の作業時には集中力が戻ってきたりします。

集中が続かない時ですら、その時の状態に合わせた時間で作業ができるのも、時間を区切らないメリットでしょう。

あえてタイマーで強制的に作業を中断した方が集中力が持続する?

ポモドーロテクニックを実践している方の多くは、ツァイガルニク効果という言葉を知っている方は多いのではないでしょうか。

ツァイガルニク効果とは、完了した事象よりも完了していなかったり中途半端な状態の事柄をより強く意識・記憶するといった心理現象です。

仕事術やタスク管理の文脈では、中途半端に作業を中断することで次の作業を再開しやすくしたり、記憶や集中を持続させたりする目的で使用されます。

このツァイガルニク効果は、ポモドーロテクニックによって作業時間を区切ることで自然に発揮することができます。

そのため、この効果をポモドーロテクニックのメリットと考え、あえて作業を中途半端に中断するようにすることで集中力を持続させようとする方もいるでしょう。

しかし私は、このタイマーによる時間区切りとツァイガルニク効果の併用はデメリットもあると思っています。

タイマーによって強制的に作業を中断すると、あまりにも中途半端になりすぎるのです。そしてツァイガルニク効果も過剰に強くなります。

なお、一つのタスクに集中していればいい状況であれば、これはメリットになるでしょう。タイマーを使うだけで有用な心理効果を高めることができるわけですから。

しかし複数のプロジェクトを並行しているような方の場合、"これ"を繰り返していると中途半端に途切れた作業の数が増えていきます。

すると結果として、たくさんの中途半端に途切れた作業が強く意識され続ける状態となります。

この状態は脳のキャッシュを無駄に消費しているような状態とも言えます。しばしば脳内の考えをメモなどに書き出すことによってワーキングメモリを空けるといったライフハック術が紹介されますが、その逆の状態になると言えばわかりやすいでしょうか。

この問題も、時間を計らずに作業していれば解決されます。時間を区切らずに作業していると、ある程度切りが良いところまで作業が進むと、自然に集中力が切れるので、中途半端になりすぎる作業の数は減らせます。

もちろん切りが良いタイミングで作業が中断されるのでツァイガルニク効果は小さくなるでしょうが、それが大きなデメリットに感じられたことはありません。

むしろ切りが良い所まで進められた達成感が得られ、無駄なワーキングメモリの消費も抑えられるというメリットの方が大きいように感じます。

このあたりの感じ方は人それぞれでしょうが、少なくとも時間を計らずにポモドーロテクニックを実践している私自身は、ツァイガルニク効果が小さくなることによる弊害は特に感じていません。

時間を計らなくてもポモドーロテクニックは実践できる

本記事では、時間を計らないポモドーロテクニックの概要と、作業時間を固定しないことによるメリットについて解説しました。

人の集中とは、時と場合によって持続時間が変動します。常に25分が最高の作業時間とは限りません。

しかしポモドーロテクニックによって作業時間を固定することで、気付かないうちにデメリットに苦しんでいる方も多いと思います。

ポモドーロテクニックが合わない、疲れると感じている方は、ぜひ時間を計らないポモドーロテクニックを試してみてください。

意外とそれだけで、疲労のようなデメリットを打ち消しつつ、ポモドーロテクニックのメリットだけを享受できるようになるかもしれません。

本記事は以上です。ありがとうございました。

【後記】
"時間を計らない"と銘打っていますが、実際には私はTaskChute Cloudで作業時間を測定しています。そのため、本記事で紹介した方法を正確に言い表すなら"時間を固定しない"ポモドーロテクニックかもしれません。

TaskChute Cloudでなくてもストップウォッチなどを使えば時間を固定せずに作業時間を測定できるので、タイマーを使うことが作業開始のトリガーになっているような方であれば、ストップウォッチやカウントアップタイプのタイマーを使用すると良いかもしれませんね。

  • この記事を書いた人

Kei

タスク管理やライフハックが好きな研究者|医学博士|株式会社CxO|タスクシュート認定トレーナー|主な発信内容はタスクシュートと研究です。

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